ご挨拶

平成30年 4月
大学院総合化学院長  武次 徹也

taketsugu

 「化学」は物質の構造と変化を扱う学問であり、非常に幅広い領域を対象としています。化学は主に実験的手法を武器として発展を遂げてきましたが、20世紀初頭にミクロな世界をつかさどる原理として誕生した「量子力学」をベースにその後のコンピュータの大いなる発展もあり、理論化学・計算化学という分野が台頭してきました。本学院は、化学現象を原子・分子レベルで原理的に探究する理論・計算化学から、物理化学、無機・分析化学、有機化学、生物・生命化学といった基盤となる分野、さらには触媒、医薬、プラスチック、セラミックス、発光材料等の機能性物質を創製する展開研究まで、幅広い学問分野を網羅しています。最近のトピックスとなっている環境・エネルギー問題や生命・健康に関わる領域、さらには人工知能が先導する化学を目指したデータ科学まで、時代とともに進展する新たな課題や新手法を取り入れながら教育・研究活動に邁進しています。

 本学院は、化学のfundamentalな側面の教育・研究を担う理学部化学と、実学としての側面に力点を置く工学部応用化学の融合を土台とし、学内の触媒科学研究所、電子科学研究所、遺伝子病制御研究所の協力、ならびに学外の物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、理化学研究所、国立循環器病研究センターの連携を得て組織された、化学に特化した大学院であり、鈴木章先生がノーベル化学賞を受賞された2010年にスタートしました。国内では他に類を見ない「総合化学」の大学院であり、化学の幅広い分野をカバーする52の研究室が「分子化学コース」、「物質化学コース」、「生物化学コース」に分かれて参画し、化学の各専門領域について理学系・工学系の双方の立場から俯瞰した体系的教育が実現するようカリキュラムを組んでいます。

  • 分子レベルでの反応の制御と解析、反応を効率的に実現する触媒開発と、それを巧みに利用した化学プロセス開発に至る一連の反応開発とプロセス設計
  • 分子や原子を階層的に組み上げることにより新たな新機能を示す有機高分子、無機材料、金属材料、ナノ材料等と、その複合材料の創製
  • 細胞と生物自体の構造・機能の化学的な解析に基づいた生体システムの人工的制御と生体の各種機能を発現する医学・医療関連材料の設計

 本学院では、グローバル人材(世界的に活躍する人材)の育成に向け、本学または海外連携大学で海外の学生と共に英語講義を受講する「サマー・インスティテュート」や「ラーニング・サテライト」等のプログラムをフロンティア化学教育研究センター等の協力を得て積極的に推進しています。博士後期課程においては、外国人留学生と日本人学生を対象とした英語教育コース「国際先端物質科学大学院」を設置し、教育の国際化に貢献しています。

 総合化学院は、本学の掲げる「フロンティア精神」、「全人教育」、「国際性の涵養」および「実学の重視」に基づいた教育理念のもと、化学および関連する広範な学問領域において次代を担うフロントランナーの育成に向けて邁進して参ります。